オードリーの小部屋(4)

1961年、シャーリーマックレーンとの共演で「噂の二人」(The children's hour)に主演します。監督は「ローマの休日」のウィリアム ワイラーでした。当初、彼女はこの映画に出演する事に戸惑いを感じていました。シャーリーマックレーン演じる女性とのレズと噂される教師の役であったからです。彼女は歩きはじめたばかりのショーンと愛犬のフェイマスを伴ってこの撮影にのぞみました。当時、有名人の子供をねらった誘拐事件が多発していたからです。
噂の二人
オードリー・ヘップバーン シャーリーマックレーン
同年、「ティファニーで朝食を」(Breakfast at Tifany's)に出演。監督 ブレークエドワード、衣装ジバンシー、音楽ヘンリーマンシーニ、共演ジョージペパード。人気のない早朝のニューヨーク。ティファニーの前でタクシーから降り立つホリーゴライトリー(オードリーヘップバーン)、ティファニーのウィンドゥを眺めながらデニッシュをかじりはじめる。バックに流れる
「ムーンリバー」。とても都会的な雰囲気が醸し出されます。これだけでもうオードリーの世界に引き込まれてしまいます。やはり見逃せないのはオードリがギターを弾きながら歌う
「ムーンリバー」です。この曲は試写の段階でパラマウントの社長から「あの歌は削ったほうがいい」という意見が出たのですが、オードリーが「絶対に削らせない」という一言で残った、というエピソードがあります。それだけ彼女は心をこめて歌っていたのです。オードリーは、貧しい境遇で育ったホリーを演じるにあたり、彼女の女優としての芽が出る前のロンドン時代の自分とホリーを重ねあわせて見ていました。その事で不安を乗り越える事ができた、と後に語っています。この作品で彼女は新しい魅力を大いに発揮してくれました。大女優としての地位を確定的に した作品でもあったのです。
ティファニーで朝食を
   オードリーヘップバーン ジョージ ペパード
1963年、「シャレード」(Charade)に出演します。監督 スタンリードーネン、衣装ジバンシー、音楽ヘンリーマンシーニ、共演にケーリーグラント。シャレードとはジェスチャー、という意味です。ケーリーグラント扮する謎の男は敵なのか味方なのか。次々に殺されていく男達。そしてクライマックスのどんでん返し。息もつかせぬ展開です。ストーリーの中に面白いセリフがあったので紹介します。下の真中のシーンで、レジーナ(オードリー)を送ってきたケーリーグラントのセリフ「On the street where you live」そう、これは偶然にも、後の「マイ フェア レディ」のナンバーのひとつになっています。
シャレード
  ケーリーグラント   オードリー・ヘップバーン

同年、「パリで一緒に」(Paris when it sizzles)に出演。監督 リチャードクワイン、衣装ジバンシー、共演ウィリアムホールデン。「麗しのサブリナ」で共演したウィリアムホールデンはオードリーに夢中になっていました。一時、二人のロマンスの噂が広まったのですが、結局はホールデンの片思いに終わりました。そんな事もありこの作品の撮影は彼女を精神的に疲れさせました。ホールデンは彼女への思いを紛らわす為泥酔してセットに現れる事も多かったと言います。また、この頃からメルとの間も段々ギクシャクしてきました。俳優としての才能も知名度も明らかにオードリーの方が上だったこのカップル。彼女がどんなに努力しても修復できない溝は深まって行きました。

パリで一緒に
オードリー・ヘップバーン ウィリアム・ホールデン